市町村の予算書見てますか?
コロナ禍によって、足で稼ぐ営業から、戦略的に情報を取り、アプローチをしていく営業に変わってきていると感じます。
そんなコロナ禍にあっても、予算を安定して執行するのが官公庁です。
その中でも、多くの方に関わるのが地方自治体かなと考えています。
地方自治体は、3月の議会を終えて、翌年度に何をするのかが予算書の形ででてきますが、皆さん活用できていますか?
以前は分厚い冊子で財政課や情報公開室に配置されており、閲覧して情報を取っていました。
現在は、各自治体のホームページで予算書が公開されており、多くの情報を取得することができます。
営業をされてる多くの方にとって、地方自治体は大事なターゲットであり、売上を見込める顧客になると思います。
そのターゲットの予算がどこにどれくらいついているのかを分かったら、その年、営業の動きはだいぶ効率的になりませんか?
それを把握する方法が予算書です。
なにそれ?そんなんどこで見れるの?とか、ありかは見つけたけど、数字だらけで何がなんやらわからない!とか、そもそも行政用語が理解不能。
こんな人たちも多いのかなと思います。
でもね、全然難しくないですし、ほとんどの業界の方が、あの冊子の1/3くらい理解できれば十分なんです。
では、そのあたりを説明していきますね。
自治体の予算ができるまで
皆さん、予算ってどう決まってくるかを把握できていますか?
また、自治体は議会を何回行い、各議会で何を決めているのかご存じでしょうか?
いつまでに、何をしたら予算に自分たちの見積が活用されるのでしょうか?
ここら辺は基本ですので、軽く触れておきますね。
自治体の議会は6、9、12、3月の年4回が通常の議会です。
(微妙に11月、2月などずれはあります。これは予算が国→県→自治体と流れてくる関係と、自治体規模による会期の長さに影響しています。)
営業の方が重要なタイミングは9月議会前までと、3月議会末でしょうか?
予算を要求するタイミング(来年何をしたいから、これくらいお金欲しいよ!)と申請するタイミングは9月の議会です。
ここまでに、担当と親しくなり、参考見積の提出を求められるようになれば、その見積が9月議会で上がっていくこととなります。(そのため、「前」を強調しました)
12月議会では、その総額がまとまり、首長レベルで来年はこれで行きましょう!という首長内示へ進みます。
その内容を精査しながら、3月議会の予算特別員会で当初予算が決まってくる流れです。
よほど、自治体内で首長と議会が分裂していたりしなければ、12月議会後、1月の首長内示で、大きな事業は来年これやるよ。という情報が聞こえてくることになると思います。
今回、取り上げている予算書は、3月の議会で承認された当初予算が記載された冊子となります。
見るべきは歳出
予算書は、歳入から始まり、歳出へ続きます。その後に特別会計で、水道事業などがでてきます。
私はいままで7つの会社を渡り歩きましたが、必要なのは歳出のみでした!
皆さんの業界もそうではないでしょうか?
自治体のキャッシュフローを見てコンサルをするような特殊例はあるかと思いますが、自治体へ何かしらのサービスや物品を売りたい、委託を受けたいという方々は「歳出」ですべて動きが把握できるようになります。
予算書内は、歳入・歳出でわかれているものが、部門別に羅列していくものです。
一般的には
・総務費
・民生費
・衛生費
・労働費
・農林水産業費
・商工費
・土木費
・消防費
・教育費
・公債費
・予備費
ですかね。(私にとって仕事になりやすい部門に色を付けました)
そして、これらの中でさらに
・給与
・職員手当等
・共済費
・報償費
・旅費
・需用費
・役務費
・委託料
・使用料及び賃借料
・工事請負費
・原材料費
・備品購入費
・負担金補助及び交付金
・
・
・
・積立金
とたくさんあります。(ここも仕事につながる予算に色を付けました。)
この中で、私が今までかかわった業界で必要だった予算は
・需用費 いろんなものが入っています。出版社で印刷を請負う、商社的に消耗品を売るなどがここですね。
・役務費 物流業務や人材業務で委託にはならない人を動かす仕事がこの範疇でしたね。
・委託料 調査・計画づくり、コンサルなど一定期間をかけて行う業務をこの費目でいただいていました。
・工事請負費 漢字表記の通りですね。建設がらみ予算です。
・備品購入費 ここも漢字の通り。家具調達などはここが多いかな。
といった具合で、7社経験していても、上記の6項目くらいです。
ほかは、職員への給与や手当だったり、地域団体への補助だったり、施設の継続維持費だったりしました。
そう考えると、見る所ってそんなに多くはないですよね?
少し、安心できましたか?
気を付けておきたいキーワード
私が、先述したもの以外で気を付けてみているものを書いておきますね。
以下のものです。
予算年度を越えて支出が発生する業務について債務負担行為として記載します。
この中には計画づくりや、建物づくりがでてきますので、気を付けてみていました。
複合機や機器のリースをされるような方にも、ここで項目がでてきますのでご注意ください。
(仮称) 上記との組み合わせが多いのですが、まだ正式に名前が決まらない事業や建物。
ほとんど建物ですが、仮称がついているものは新しいことだとして見ています。
見つけやすく、ビジネスにつながるケースの多いキーワードです。
以上のような項目をみながら、4月5月は、自治体の担当部門にこの予算はどんなことをやるのか?
資料をご提出する機会をもらえないか交渉をしていきます。
本当は、前年に自分たちがつけた予算が、「今年どうなったのかな」と見ていくのが目指す道ですが、すべては網羅できないので、他社の行った予算も追いかけていく必要はありますよね。
特に4月に担当が変わったような事業ならチャンスですね!
予算書ってどこにある?
こんな便利な予算書。
見ない手はないですよね?
いったいどこで見られるのか?
前述の通り、以前は『情報公開室』や『財政課』、『企画課』などのカウンターに閲覧用でおいてあったり、自治体によっては販売していました。
今は、ネット環境が整い、だいたいホームページで開示資料になっています。
私は、毎年4月に担当自治体の予算書をEvernoteのWebクリッパーで丸々保存しています。
会議の時などに開いて、Ctrl+Fで文字検索をかけ、部下にこの部門のこの予算を調べてきてね。
というような指示をだしています。
前年予算書との比較もできますので、今年はこの部門にやたらと予算がついている。
「なんで?調べてみて」
という依頼も出します。
また、昨今はコロナ対策の費用や、災害復旧費用もよく計上されます。
それらを元に、重点訪問自治体を決め、ローラー商材をまとめた資料を基に訪問を指示することもあります。
今回のお話は当初予算ですが、各議会で補正予算も組まれます。
6月はほぼないですが、9、12月は頻繁にあります。
営業は情報戦です。公開情報は取れていない会社(営業)は継続して勝つのは難しいと思ったほうがよいです。
担当営業に指示することも大事ですが、担当エリアの自治体がどんなお金を動かしているのかを把握するのはマネージャーとしても重要です。
ぜひ、みなさんも予算書を使った営業戦略。組み立ててみませんか?
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